フラッシュ2024年5月25日
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生物工学/医療
足の動脈疾患は心臓の疾患より死亡率が高い、阪大など明らかに
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、小倉記念病院、大阪警察病院らの共同研究チームは、下肢閉塞性動脈疾患のため血行再建術が必要となった人は、冠動脈疾患のために血行再建術が必要となった人に比べて、死亡率が高いことを明らかにした。
研究チームは今回、動脈硬化による下肢閉塞性動脈疾患または冠動脈疾患に対して血行再建術を受けた患者約1万人を調査。下肢閉塞性動脈疾患の患者は、冠動脈疾患の患者に比べて、死亡リスクが3倍近く高くなっていることが判明した。
また、冠動脈疾患の患者と比べると、下肢閉塞性動脈疾患の患者は、他の病気を多く合併している一方で、心血管保護薬の使用率が低かった。さらに、医学的・社会的にも「弱い」状況に立たされている人も多いなど、多くの違いがあり、こうした背景の違いが、死亡率の高さと関係していることも明らかになった。
動脈硬化は下肢閉塞性動脈疾患および冠動脈疾患の原因になり、いずれの疾患も病状が進んだ場合には血行再建術が必要となる。しかし、これまで、血行再建術が必要となるような下肢閉塞性動脈疾患と冠動脈疾患を直接比べたデータは乏しく、患者の特徴や死亡リスクが違うのかどうか、違うのならどう違うのかよく分かっていなかった。
今回の研究により、下肢閉塞性動脈疾患の死亡率を下げるアプローチの開発が進み、その取り組みにつながることが期待される。研究論文は、欧州科学誌、ヨーロピアンハートジャーナル(European Heart Journal)に、2024年5月2日にオンライン公開された。
(中條)
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