フラッシュ2024年5月22日
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生物工学/医療
胚中心でB細胞が適切に選択される仕組みを解明=阪大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、東京大学などの共同研究チームは、リンパ球の一種であるB細胞の親和性成熟の場である胚中心で、B細胞が適切に選択され、抗体の親和性成熟を導くメカニズムを明らかにした。
ウイルスやワクチンなどの外来抗原が体内に入ると、脾臓やリンパ節などの2次リンパ組織の中で胚中心と呼ばれる構造体が形成され、B細胞が盛んに増殖し、将来産生する抗体の性能を高める親和性成熟という現象が起こる。だが、胚中心でどのようなB細胞が選択され、増殖していくかのメカニズムは、不明な点が多かった。
研究チームは、胚中心B細胞の運命を決定する重要な2つのシグナル(B細胞受容体シグナルとヘルパーT細胞からのシグナル)に着目し、B細胞受容体シグナルのみが亢進するマウスモデルを開発して解析を実施した。その結果、B細胞受容体シグナルのみが亢進したB細胞には細胞死が誘導され、結果的に親和性成熟が正常に誘導されないことが判明。正常な胚中心B細胞の選択と親和性成熟を誘導するためには、適切な範囲のB細胞受容体シグナル強度が必要であることが示唆された
同チームによると、今回の成果は、胚中心B細胞選択のメカニズム解析という基礎研究のみならず、抗原に対してより効果的な抗体を産生するための新しいワクチンデザインに貢献することが期待されるという。研究論文は、米国の科学誌、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journal of Experimental Medicine)のオンライン版に2024年5月17日に掲載された。
(中條)
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