フラッシュ2024年4月3日
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コンピューティング
ボーズ粒子系における量子もつれの伝達速度限界を解明=理研など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所と京都大学の共同研究チームは、相互作用するボーズ粒子(光子などのボーズ・アインシュタイン統計に従う量子粒子)の系において「量子もつれ」が伝達する速度の限界を理論的に解明した。量子もつれは、二つ以上の粒子がその量子状態において密接に関連し合っている現象で、一方の粒子の状態を測定することで、即座に他方の粒子の状態が決定される性質を持つ。距離に関係なく瞬時に情報が伝わる特性があり、量子情報技術や量子コンピューティングにおいて重要な役割を果たす。
研究チームは今回、量子多体系における情報伝達の限界速度を表す「リーブ・ロビンソン限界」と呼ばれる概念を考察し、情報伝達速度の持つ限界を理論的に解明。その結果、もう一つの基本粒子であるフェルミ粒子(電子などの同じ量子状態に二つ以上存在できない量子粒子)と異なり、ボーズ粒子は情報伝達の加速という現象を起こすことを明らかにした。さらに、この結果を用いて、相互作用するボーズ粒子を量子コンピューター上でシミュレートする精度保証付きの手法を新たに開発した。
量子力学で現れる最も基本的な粒子であるボーズ粒子が相互作用を通じてどのくらいの速さで量子的な情報を伝達できるのか、という問題は長年未解決だった。今回の成果は、多数のボーズ粒子が相互に作用することで生じる量子力学的な動きを理解する上で新しい洞察を提供すると同時に、量子コンピューターを含む情報処理技術における根本的な制約を解明することにも寄与すると期待される。
研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2024年3月21日付けでオンライン掲載された。
(中條)
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