フラッシュ2024年3月27日
-
生物工学/医療
軟部肉腫のオンチップモデルで血管新生の仕組みを解明=京大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学、東京医科大学、がん研究会がん研究所の共同研究チームは、希少がんである胞巣状軟部肉腫(ASPS)を模倣したオンチップモデル「ASPS-on-a-Chip」を開発。腫瘍形成時に血管新生を誘導する血管新生因子が輸送される仕組みを、生体外で再現することに成功した。
ASPSの標的遺伝子には血管形成因子自体と、それらを運ぶ細胞内輸送促進因子が含まれ、ASPSにおける独特な血管構造の原因となっている。研究チームは今回、腫瘍細胞、周皮細胞、および血管内皮細胞からなる共培養系により、血管が豊富なASPS-on-a-Chipを作製。機能的および形態的に生体内のASPSを模倣することで、血管網の透過性が上昇すること、および細胞内輸送促進因子である「Rab27a」と「Sytl2」が血管新生を誘導することを実証した。
ASPSはAYA世代(思春期・若年成人)に好発し、腫瘍の増殖は緩やかだが、血管形成が盛んなことから全身に転移する傾向が強く、予後不良な疾患である。今回の成果により、輸送促進因子機能を抑える新しい治療方法の開発につながることが期待される。
研究論文は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences:PNAS)」のオンライン版に2024年3月22日付けで掲載された。
-
- 人気の記事ランキング
-
- What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
- Why AI could eat quantum computing’s lunch AIの急速な進歩は 量子コンピューターを 不要にするか
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画