フラッシュ2024年1月30日
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気候変動/エネルギー
東大など、生分解性プラスチックが深海でも分解されることを実証
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学、海洋研究開発機構、群馬大学、製品評価技術基盤機構、産業技術総合研究所、日本バイオプラスチック協会の共同研究チームは、さまざまな生分解性プラスチック(ポリ乳酸を除く)が、水深や環境の異なる日本近海の5地点の深海底(757~5552メートル)のいずれでも、微生物により分解されることを、世界で初めて明らかにした。分解が実証された生分解性プラスチックは、世界中のいずれの海域においても分解されると考えられ、世界的なプラスチック海洋汚染問題の解決に貢献すると期待される。
研究チームは、神奈川県の三崎沖(水深757メートル)静岡県の初島沖(同855研究チーム)、伊豆小笠原島弧海底火山付近の明神海丘(同1292メートル)、黒潮続流域の深海平原(同5503メートル)、日本最東端の南鳥島沖(同5552メートル)で調査を実施。生分解性プラスチック表面に無数の微生物がびっしりと付着し、時間と共にサンプル表面に粗い凸凹ができて、生分解が進行している様子を確認した。
同チームは、水深が深くなるにつれて分解の速度は遅くなるものの、全ての深海底で生分解が進行することを実証。水深約1000メートルの深海底では、本研究で用いた生分解性プラスチックで作製したレジ袋は、3週間から2カ月間で生分解されることを計算により推定した。
研究チームはさらに、菌叢解析およびメタゲノム解析により、深海から生分解性プラスチックを分解できる新たな分解微生物を多数発見。発見した分解微生物が世界中のさまざまな海底堆積物にも生息していることを示し、今回分解が実証された生分解性プラスチックは、世界中のいずれの深海でも分解されると考えられるとしている。
本研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2024年1月26日付けで掲載された。
(中條)
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