フラッシュ2024年1月30日
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宇宙
探査機「SLIM」が月面にピンポイント着陸に成功、景観画像を公開
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月25日に、日本で初めて月面着陸に成功した小型月着陸実証機「スリム(SLIM)」の現状について報告した。SLIMは当初の目標着地地点から東側に55メートル程度の位置で月面に到達しており、SLIMの主ミッションであった100メートル精度のピンポイント着陸の技術実証は達成できたという。
JAXAによると、SLIMは同年1月20日午前0時20分(日本標準時)に月面に着陸し、地球との通信を確立させることに成功した。ただし、SLIMの着陸時の姿勢などが計画通りではなかったことから、太陽電池からの電力発生ができず、同日午前2時57分(同)に地上からのコマンドにより探査機の電源をオフにしている。SLIMは太陽電池が電力を発生していない姿勢で月面上に静定した経緯については、2基搭載されているメインエンジンの1基の推力が失われた可能性が高いことが、取得したデータの分析から判明したという。
SLIMは接地直前に、小型月面探査ロボットである「レブ-1(LEV-1:Lunar Excursion Vehicle 1)」と「レブ-2(LEV-2)」の放出に成功。加えて、SLIMに搭載されたマルチバンド分光カメラ(MBC)についても、電源オフまでの間に試験的に動作し、撮像画像を取得できた。
超小型月面探査ローバー「LEV-1」についてJAXAは、計画していた跳躍移動や地上局との直接通信など月面での活動が実施されたことを確認。活動期間を終えて所定の電力を使い切り、月面で待機中の状態にあるという。
JAXAとタカラトミー、ソニーグループ、同志社大学が共同開発した変形型月面ロボット「LEV-2」は、月面に着陸した状態にあるSLIMおよび周辺環境を撮影し、LEV-1の通信機経由で画像を地上に転送することに成功。同画像が公開された。LEV-2は自律制御で動作しており、今回送信された画像は、オンボードの光学カメラを使って撮影した複数枚の画像の中から、SLIMが画角内に写っている良質な画像を画像処理アルゴリズムにより選定したものであるという。
SLIMに搭載したマルチバンド分光カメラ(MBC)については、月面着陸後、打ち上げおよび着陸の衝撃に耐えるためのロック機構を解除し、可動ミラーを動かして、観測対象となる岩石を特定するためのスキャン運用を実施。JAXA、会津大学および立命館大学が、257枚の低解像度モノクロ画像を撮像・合成して作成した景観画像を公開した。
(中條)
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