フラッシュ2023年9月20日
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気候変動/エネルギー
キロアンペア級の大電流SCSCケーブル、京大と古河電工
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学、古河電工、SuperPowerの研究グループは、交流の大電流を流せ、交流損失が小さい高温超伝導集合導体「SCSCケーブル(Spiral Copper-plated Striated Coated-conductor cable)」を開発。1キロアンペアの交流電流の通電と、従来比で10分の1に交流損失を低減させることに成功した。従来の高温超伝導集合導体であるテープ形状の薄膜高温超伝導線は交流損失が大きく、キロアンペア級の電流を流せない上に、テープ形状の幅の方向に曲げにくく、多様な形のコイルを作れないなどの短所がある。
研究グループは、細く分割した薄膜高温超伝導線をコア(芯材)の周りにらせん状に巻き付けることで、交流損失を小さくする研究を進めている。今回の研究では、直径3ミリメートルの金属コアの周りに1層当たり3本、6層に渡って合計18本の薄膜高温超伝導線を巻き付けたSCSCケーブルを試作。これを液体窒素でマイナス196度に冷やして、1キロアンペアの交流電流を流すことに成功した。
試作したケーブルの直径は4ミリメートルで、1平方ミリメートル当たり80アンペア以上の密度で電流を流した計算になり、一般的な電線である銅線の電流密度の数十倍に相当する。このケーブルをマイナス253度まで冷やせば、さらに大きい数キロアンペアの電流を流すことができ、電流密度は1平方ミリメートル当たり100〜200アンペアに達するという。高い密度で交流電流を流せると、強い磁気を発生させることが可能になる。SCSCケーブルは任意の方向に曲げられるため、多様な形のコイルを形成することが可能だ。
また、別に試作した4層構成のSCSCケーブルを液体窒素で冷やして、100ミリテスラの交流磁界をかけて交流損失を測定したところ、同じ条件下で従来のテープ形状の薄膜高温超伝導線に比べて、10分の1まで低減できていることが確認できたという。
研究成果は9月14日、フランス・エクス=アン=プロヴァンスで開かれた「第28回マグネット技術国際会議(The 28th International Conference on Magnet Technology)」で発表された。
(笹田)
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