フラッシュ2023年9月16日
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気候変動/エネルギー
太陽光+EVバッテリーでCO2を76%削減、パリ周辺で試算
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学、国立環境研究所、フランス・エコール・ポリテクニーク、フランス気候・環境科学研究所、フランス・ネクスト(Nexqt)の研究グループは、住宅用太陽光発電システムと電気自動車を組み合わせた温室効果ガス削減策について、フランス・パリ近郊での導入効果を試算した。太陽光で発電した電力を電気自動車(EV)のバッテリーに充電し、蓄電池として活用することで、二酸化炭素排出量を最大76%削減できるという。
研究グループは、電力自給率や二酸化炭素排出量について、系統電力とエンジン車を利用した場合と、住宅用太陽光発電システムとEVバッテリーを活用した場合について、技術経済分析の手法で比較した。比較対象年を2019年、分析時間解像度を1時間ごとに設定し、屋根面積は都市全体の最大70%を活用、乗用車はすべてEVに置き換えたと仮定。太陽光とEVの組み合わせで、電力需要の最大31%をまかなえると試算した。
都市化が進んだパリでは、太陽光を設置できる屋根面積が限られることから、住宅など低層建物が多いパリ近郊のイル=ド=フランス地域圏に対象を拡大したケースでも試算。イル=ド=フランス地域圏では、太陽光とEVの組み合わせで、電力需要の60%程度をまかなえるという。
経済性を最大化して仮定すると、2030年のエネルギー・コストを最大23%、二酸化炭素排出量を最大76%削減できることが分かった。パリは高緯度地域に位置しているため、太陽光発電による発電量の季節変動が大きく、冬季のエネルギー需要も大きい。都市の面積当たりのエネルギー需要が高く、屋根面積が狭いという太陽光発電には不利な条件が揃っているが、周辺地域も合わせたイル=ド=フランス地域圏全体で太陽光とEVを活用することで、大きな効果が得られることが分かった。
研究成果は8月25日、アプライド・エナジー(Applied Energy)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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