フラッシュ2023年7月15日
-
DNAを1分子単位でカウント・抽出=東京農工大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京農工大学と長岡技術科学大学の研究グループは、DNA分子を1分子単位でカウント・抽出する技術を開発した。
研究では、DNA分子を1分子単位でカウントするときに使用するナノポア技術を応用した。微細な孔(ナノポア)を通過する分子を電気的に検出する方法である。ナノポア内にはイオンが流れており、DNAがナノポア内を通過する際にイオンの流れが阻害されることから、これを電気的に観測することでDNA分子の通過をカウントできる。研究グループは、一本鎖DNAがちょうど通過でき、二本鎖DNAは通過できない大きさの生体ナノポアの一種、α-ヘモシリン(αHL)を利用した。
DNA分子を1分子単位でカウント・抽出するため、それぞれ数マイクロリットルの2つの液滴から成るナノポアフィルターシステムを構築。2つの液滴はαHLでつながっており、片側の液滴にDNAを添加すると、αHLを通過してもう片側の液滴に移動する。αHLを通過する分子を電気信号の変化から検出し、通過した分子を液滴から回収できる。当初はαHLを通過していないDNAが通過したDNAに混入するなどの課題があったが、実験環境や実験条件を見直し、最適化することで、数マイクロリットルのサンプルから約70塩基の一本鎖DNAを1〜100分子単位でカウント・抽出することに成功したという。
研究成果は6月6日、アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)誌にオンライン掲載された。精度をさらに高めることで、疾患診断や医薬品開発の分野での応用が期待できるという。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
- OpenAI just released GPT-4.5 and says it is its biggest and best chat model yet 限界説に挑むオープンAI、最後の非推論モデル「GPT-4.5」
- Your boss is watching 機械化する人間たち—— 「見えない目」が変える 職場の風景
- Welcome to robot city アンデルセンの故郷、 ロボット産業の中心地に デンマーク小都市の成功物語