フラッシュ2023年5月31日
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進化の過程で「消えやすい遺伝子」の特徴を発見=遺伝研
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京都医学総合研究所の研究者と国立遺伝学研究所の研究者による研究チームは、進化の過程で「消えやすい」遺伝子をヒトゲノムに多数同定し、消えやすい遺伝子がもつ機能面以外の特徴を見い出すことに成功。進化における遺伝子の消えやすさには、遺伝子機能の要・不要だけではなく、その遺伝子が存在するゲノム領域の特徴が大きく影響していることを明らかにした。
研究チームは、哺乳類の進化において「消えやすい」遺伝子を、「ヒトは保持するが哺乳類の2つ以上の系統で独立に失われた遺伝子」と定義し、100種を超える哺乳類の網羅的な遺伝子情報をもとに消えやすい遺伝子を探索。191種の哺乳類を用いた遺伝子の網羅的な分子系統解析により、813の消えやすい遺伝子と8050の消えない遺伝子を同定した。
次に、ヒトにおける消えやすい遺伝子と消えない遺伝子の塩基配列を比較して、両者で異なる特徴を探した。その結果、「消えやすい」遺伝子は、(1)GC含量(核酸を構成する4つの塩基のうち、グアニンまたはシトシンをもつ塩基の割合)が高く、(2)塩基置換が高頻度であり、(3)発現が抑制されている、という特徴を持つことを見つけた。さらに、消えやすい遺伝子の特徴は、脊椎動物の多様な種における相同なゲノム領域で共有されていることもわかった。
これまで、進化において遺伝子が失われることは、「必要でなくなれば無くてよい」という遺伝子機能の要・不要という側面で議論されてきた。今回、進化における遺伝子の消えやすさにおいて、影響を及ぼすゲノム領域の特徴がわかったことで、より広域なゲノム領域の変異性にも着目できるようになることが期待される。研究論文は、国際科学雑誌イーライフ(eLife)に2023年5月24日付けで掲載された。
(中條)
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