フラッシュ2023年4月21日
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好熱菌を活用した堆肥-土壌-植物モデルを構築=理研など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所や千葉大学などの共同研究チームは、堆肥-土壌-植物の相互作用モデルを構築することに成功した。「好熱菌(50℃以上で増殖する細菌群の総称)」を活用した脱化学肥料・脱化学農薬農法の可能性を示すことで、持続可能な農業の推進に貢献することが期待される。
研究チームは今回、好熱菌発酵物を施肥したニンジンを根菜類モデルとして用いて、生産性と品質を指標として評価した上で、ニンジンの地上部と地下部のマルチオミクス解析(微生物、代謝物の網羅的な分析)のデータを集積。相関解析、機械学習によって重要因子を抽出し、ニンジンの代謝物と土壌の共生菌・代謝物の構造方程式(任意の因子間の因果関係を表現する数式)モデルを算出した。
さらに、同モデルの予測に基づき、「パエニバシラス属」という土壌共生菌の候補を単離し、ゲノム解析と生物活性評価を実施。これらの土壌細菌の共生系が化学肥料を使用しなくても空気中の窒素ガスを有効利用でき、温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)の土壌からの発生抑制にもつながる可能性を示した。
今回の研究成果は、持続可能な農業研究成果は、科学雑誌ISMEコミュニケーションズ(ISME Communications)オンライン版に2023年3月31日付けで掲載された。
(中條)
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