フラッシュ2022年12月15日
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理研など、ナトリウム同位元素の既知存在限界を20年ぶりに更新
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所(理研)、東京工業大学、ドイツ・重イオン研究所などの国際共同研究チームは、安定なナトリウム-23(23Na:陽子数11、中性子数12、質量数23)より中性子が16個も多い超中性子過剰な同位元素、ナトリウム-39(39Na:陽子数11、中性子数28、質量数39)を世界で初めて生成・観測。ナトリウム-37(37Na:陽子数11、中性子数26、質量数37)が発見されて以来20年ぶりに、ナトリウム同位元素の既知存在限界を更新することに成功した。
研究チームは、理研の重イオン加速器施設「RI(放射性同位元素)ビームファクトリー」から供給される、光速の約70%まで加速された大強度カルシウム-48(48Ca:陽子数20、中性子数28、質量数48)ビームを、厚さ20mmのベリリウム(Be:陽子数4、中性子数5、質量数9)標的に照射。原子核同士を衝突させることで、39Naを含む中性子過剰RIビームを生成した。
さらに、大口径超伝導RIビーム分離生成装置「BigRIPS」を用いて、生成されたRIビームを収集・分離して、観測された放射性同位元素の粒子を識別。総数9個の39Naが生成されたことを確認し、39Naの原子核がエネルギー的に束縛した状態にあることを明らかにした。
「原子核に中性子は何個まで付け加えられるか」という問いは、原子核物理学において重要で基本的な問題であるが、未だ解決されていない。本研究成果は、中性子数が過剰な極限付近にある放射性同位元素の原子核構造の解明や理論計算に貢献すると共に、宇宙における元素合成過程などを理解する上で重要な原子核の質量モデルの有効性を検証する試金石になると期待できる。
研究論文は、科学雑誌フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)オンライン版に11月14日付けで掲載された。
(中條)
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