フラッシュ2022年11月16日
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生物工学/医療
九大など、単純X線撮影と同様の装置で肺塞栓症を診断するシステム
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]九州大学とコニカミノルタの研究グループは、単純X線撮影と同様の装置を使った胸部X線動態撮影で肺塞栓症を診断するシステムを開発した。広く普及している機器を使って、低い被曝線量で肺塞栓症を診断できる。
肺塞栓症には急性と慢性があり、どちらも生命に関わる疾患である。急性の場合は造影CT、慢性の場合は肺換気血流シンチグラフィによる検査が必要だが、造影CTには被曝線量が高く、造影剤を使用するためアレルギー患者には実施しにくいという問題がある。また、肺換気血流シンチグラフィは、高価で大型の装置が必要になるため、検査できる医療機関が少ないのが課題だ。
胸部X線動態撮影は、単純X線撮影と同様の装置を使って、患者が7〜10秒間息を止めている間に15フレーム/秒ほどの連続X線画像を撮影する手法。被曝線量は胸部Xamarinの線社員正面像と側面像を撮影したときよりも少ない。
研究グループは、胸部X線動態撮影で得られた連続X線画像から肺内のXamarinの線透過性の経時的変化を読み取り、肺塞栓症を示唆する血流分布異常を検出し、胸部単純X線画像の肺野異常所見と合わせて分析することで、肺塞栓症を診断するシステムを開発した。過去の肺高血圧症50例のデータを使って、放射線か専門医の読影と比較したところ、今回開発したシステムは高い診断能力があると確認できたという。
研究成果は11月9日、ラジオロジー(Radiology)誌に掲載された。国が指定する難病の1つに、慢性肺塞栓症から発症する慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension:CTEPH)があるが、患者数が増加傾向にあるという。今回開発したシステムを利用すれば、CTEPHの早期検出が可能になり、早期に治療を開始して予後を改善させることが可能になるとしている。
(笹田)
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