フラッシュ2022年9月28日
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新型コロナの血管侵入の仕組みを解明、治療法を提案=京大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学と大阪大学などの共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が呼吸器の血管へ侵入するメカニズムを解明。さらに、高コレステロール血症の治療と心血管疾患の予防に使用されるスタチン系薬剤の一種である「フルバスタチン」により、同ウイルスによる呼吸器の血管内皮バリア破壊を治療できることを示した。
研究チームは、気道上皮細胞と血管内皮細胞で構成された気道チップ(気道における上皮-内皮構造を再現できる培養モデル)使用し、新型コロナウイルスが血管内皮細胞間の密着結合に関わる「Claudin-5(CLDN5)」の発現を抑制することで、呼吸器の血管内皮バリアを破壊することを発見。実際に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の肺で、CLDN5の遺伝子およびタンパク質発現量が減少していることを確認した。
さらに、血管内皮細胞のCLDN5の発現量を遺伝子導入や低分子薬(フルバスタチン)で増加させることで、新型コロナウイルスによる血管内皮バリア破壊を抑止することに成功。CLDN5の発現促進が新型コロナウイルス感染症の新しい治療戦略となることを示した。
新型コロナウイルスは、呼吸器上皮細胞に感染したのち、血管を介して他の臓器に伝播する。このとき、同ウイルスは呼吸器から血管の壁(血管内皮細胞のバリア)をこえて血管内に侵入するが、そのメカニズムは不明であった。
研究成果は、サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に2022年9月21日付けでオンライン公開された。
(中條)
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