フラッシュ2022年9月4日
-
光触媒でレジオネラ菌の殺菌と内毒素の分解に成功=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学、カルテックの研究グループは、レジオネラ症を引き起こす細菌であるレジオネラ・ニューモフィラを光触媒で殺菌することに成功。敗血症などの原因になるレジオネラ・ニューモフィラのエンドトキシン(内毒素)の分解にも成功した。
研究グループは10センチメートルのシャーレに酸化チタン型光触媒を塗布したガラスを置き、リン酸緩衝液に混ぜたレジオネラ・ニューモフィラを30ミリリットル加えて撹拌しながら、光波長405ナノメートルの光を発光ダイオードで照射した。その結果、光触媒反応が発生して1時間でレジオネラ・ニューモフィラの99.9%を殺菌することに成功した。
透過型電子顕微症を使って観察することで、光触媒反応がレジオネラ・ニューモフィラの細胞膜にダメージを与え、殺菌につながったことを確認した。加えて、レジオネラ・ニューモフィラのエンドトキシンに光波長405ナノメートルの光を発光ダイオードで照射して、エンドトキシンを光触媒反応で分解できることも初めて証明した。
研究成果は8月11日、カタリスツ(Catalysts)誌に掲載された。光触媒反応は紫外線のような人体に有害な光を使わないため、人間の生活空間や水環境に適用しやすい。研究グループは、生活空間周辺の水質浄化につながるとしている。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Anthropic can now track the bizarre inner workings of a large language model 大規模言語モデルは内部で 何をやっているのか? 覗いて分かった奇妙な回路
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
- AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
- This Texas chemical plant could get its own nuclear reactors 化学工場に小型原子炉、ダウ・ケミカルらが初の敷地内設置を申請
- Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製