フラッシュ2022年8月5日
-
全固体電池の電解質を機械学習で自動設計する新手法=早大と富士通
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]早稲田大学と富士通の研究グループは、全固体二次電池の高分子固体電解質を機械学習で自動設計する手法を開発した。
研究グループは、2つの人工知能(AI)を組み合わせて適切な分子構造の物質の候補を出力させ、候補の中から最適なものを富士通が開発した疑似量子アニーリング・コンピューターである「デジタルアニーラ」で絞り込む手法を採った。
1つ目のAIは教師なし機械学習(制限ボルツマンマシン)で、電解質としてこれまでに検討されてきた材料構造群の特徴を学習させた。これで、固体電解質の分子的な特徴を自動的に認識させることが可能になる。2つ目のAIは教師あり機械学習で、研究グループが独自に構築したイオン伝導体データベースをもとに、分子構造と電気伝導度の関係を学習させた。
以上2つのAIが提示する大量の候補の中から、組み合わせ最適化問題を高速で解くデジタルアニーラで最適な組み合わせを導き出した。実際にこの手法で見つけ出した構造をもとに、新たな高分子材料を合成し、全固体リチウム電池の電解質層として機能することも確認した。
研究成果は6月27日、「マクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromolecular Rapid Communications)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
- An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
- This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
- OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究