フラッシュ2022年7月28日
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ISSで初、高濃度酸素条件での材料燃焼実験を実施=JAXAと北大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]宇宙航空研究開発機構(JAXA)と北海道大学は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟において、新たに開発した固体燃焼実験装置(SCEM)による燃焼実験を、2022年5月19日に開始したことを明らかにした。微小重力環境における固体材料の燃焼性を、地上での試験結果に基づいて定量的に評価できる世界初の手法を検証することで、今後の有人宇宙活動における火災安全性の確保に貢献する。併せて、2022年6月23日に実施した、ISSで初となる高濃度酸素条件での材料燃焼実験の結果を公開した。
SCEMは、固体材料上の火炎燃え広がりが起こる限界酸素濃度や、電線のショートによる被覆材の発火が起こる限界電流条件などのデータを取得可能で、対流が無視できる微小重力環境下における固体材料の燃焼特性や、材料の燃焼限界に対する重力の影響を解明することを目的としている。今後、様々な材質の材料を用いて「きぼう」で燃焼実験を実施し、微小重力環境における材料の燃焼性を評価するための燃焼試験の手法の妥当性を検証していく。
SCEMではさらに、低圧条件や45%までの高濃度酸素条件における燃焼実験も可能であるため、米航空宇宙局(NASA)などによる国際月探査計画「アルテミス」に対応した環境条件での材料の燃焼特性データの取得も可能となる。アルテミス計画では月面居住施設などの与圧環境として、ISS(大気圧、酸素21%)とは異なる低圧・高濃度酸素条件(0.56気圧、酸素34%)が検討されている。ISSでこれまで用いられてきたNASAの実験装置では、大気圧で21%以下の酸素濃度における材料燃焼実験しか実施できなかった。
(中條)
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