フラッシュ2022年6月24日
-
がん抑制遺伝子で肝細胞がん発生が促進=阪大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学の研究チームの研究で、がん抑制遺伝子p53が肝臓で過剰に働くことで、むしろがんの発生が促進されることが分かった。p53は最も重要ながん抑制遺伝子として知られ、肝細胞がんを含めた多くのがんがp53の機能が失われることで発生する。一方、p53の過剰な働きでがんが発生することはこれまで知られていなかった。
研究チームは肝細胞がんを自然発症するマウスを作り、p53の分解を促すタンパク質であるMdm2を幹細胞で欠損させた。その結果、肝細胞でp53が分解されず蓄積し、活性化してしまい、肝細胞がんの発生が著しく促進された。同じマウスで、さらにp53を欠損させたところ、肝細胞がんの発生を抑制できたという。
肝細胞がんの予防では原因となる慢性肝疾患の治療以外に方法がなかったが、今後、新たな予防薬の開発につながる可能性がある。
研究成果は6月13日、「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」誌に掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Anthropic can now track the bizarre inner workings of a large language model 大規模言語モデルは内部で 何をやっているのか? 覗いて分かった奇妙な回路
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
- AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
- What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
- Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製