フラッシュ2022年6月11日
-
理研、アルツハイマー病治療薬開発に役立つモデルマウスを開発
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所、名古屋市立大学、名古屋大学、早稲田大学の研究グループは、アルツハイマー病の新規治療薬として期待される「βセクレターゼ阻害薬」の効果を正しく評価できるモデルマウスの開発に成功した。
従来は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)をコードするApp遺伝子に複数の家族性ADの原因遺伝子変異を導入したマウスを使っていた。ただ、アルツハイマーの「スウェーデン変異」は、APPからアミロイドβペプチド(Aβ)が産生される過程でβセクレターゼが切断する部位のそばのあるため、βセクレターゼ阻害薬の効果を正しく評価できなかった。
研究グループは遺伝子改変ツールのCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)を使い、従来のモデルマウスからスウェーデン変異だけを取り除いた新しいモデルマウスを開発した。このマウスは、Aβの蓄積や、それに伴う神経炎症を再現しており、βセクレターゼ阻害薬の効果を正確に評価できるという。
研究成果は6月9日、サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)誌にオンライン掲載された。開発したモデルマウスは今後、基礎研究や臨床研究での活用が期待できるとしている。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- These AI Minecraft characters did weirdly human stuff all on their own マイクラ内に「AI文明」、 1000体のエージェントが 仕事、宗教、税制まで作った
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #31 MITTR主催「再考ゲーミフィケーション」開催のご案内
- The startup trying to turn the web into a database Webをデータベースに変える、新発想のLLM検索エンジン
- 3 things that didn’t make the 10 Breakthrough Technologies of 2025 list 2025年版「世界を変える10大技術」から漏れた候補3つ
- OpenAI’s new defense contract completes its military pivot オープンAIが防衛進出、「軍事利用禁止」から一転