フラッシュ2022年6月2日
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東北大、パーキンソン病の治療薬につながる細胞内輸送機構を解明
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学の研究チームは、細胞内で形成されたエクソソーム(細胞内に由来する直径50~200ナノメートルの細胞外の膜小胞)を細胞膜へ輸送する制御分子として、「Rab39A」と「Rab39B」(以下、Rab39A/B)を新たに同定した。
研究チームは、細胞内の小胞や細胞小器官の輸送を制御することが知られている低分子量Gタンパク質「Rab」に着目。多胞体に選択的に局在し、遺伝子欠損によりエクソソーム分泌に影響があるRabを網羅的に探索することで、Rab39A/Bが多胞体の細胞膜方向への輸送を制御していること、およびRab39A/Bが正常に機能できない細胞ではエクソソーム分泌が顕著に阻害されることを明らかにした。
さらに同チームは、パーキンソン病変異型Rab39Bとエクソソーム分泌との関連性を調べた。すると、Rab39A/B欠損細胞におけるエクソソーム分泌の阻害は、Rab39A/B欠損細胞にRab39Bを再発現することで回復することと、パーキンソン病変異型Rab39Bを発現させてもエクソソーム分泌は強く阻害されたままであることを発見。パーキンソン病変異型Rab39B発現細胞では、エクソソーム分泌の効率が低下している可能性を示唆した。
Rab39Bは若年性パーキンソン病の原因遺伝子として知られているが、発症の仕組みは不明。今回の研究は、Rab39Bと若年性パーキンソン病の関連性をエクソソーム分泌という観点から解析した初めての報告として、治療薬の開発への応用が期待される。
研究成果は、米国の国際科学誌のセル・レポーツ(Cell Reports)の電子版に、2022年6月1日付けで掲載された。
(中條)
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