高性能の新しい量子コンピューターへの期待が高まる一方、困惑も広がっている。量子コンピューターは現在のコンピューターとは比べものにならないほどの計算能力を持つが、この能力の活用方法が見い出せていないのだ。
魅力的で可能性のある使い道が1つある。分子を正確に設計することだ。
材料の量子的飛躍
- ブレークスルー
- IBMが7キュービットの量子コンピューターを使って小さな分子の電子構造をシミュレートした。
- なぜ重要か
- 分子を詳細に理解することで、化学者はもっと効果的な医薬品や、エネルギーの発電や送電に効率的な材料を開発できるだろう。
- キー・プレーヤー
- IBM、グーグル、ハーバード大学のアラン・アスプル=グジク教授
- 実現時期
- 5〜10年
化学者は、効果の高い医薬品のための新しいタンパク質や、次世代電池向けの新しい電解質、太陽光を直接液体燃料化する化合物や非常に効率的な太陽電池などをすでに夢見ている。
従来のコンピューター上で分子をモデル化するのはばかばかしいほどに負荷がかかるため、こういったものはまだない。比較的簡単な分子における電子の振る舞いをシミュレートしてみると、現在のコンピューターの能力を大きく超えた複雑な計算にぶち当たるだろう。
だが、量子コンピューターにはふさわしい問題だ。1と0で表されるデジタルビットの代わりに、そのものが量子システムである「キュービット」を使うのだ。最近、IBMの研究者が7キュービットの量子コンピューターを使って、3つの原子でできた小さな分子をモデル化した。
さらに大きなキュービットの量子コンピューターを開発すれば、さらに大きくて意味のある分子を正確にシミュレーションできるだろう。もちろん、より効率的な量子アルゴリズムを作ることも同じくらい重要だ。
(デビッド・ロットマン)
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