Genetic Fortune-Telling

Genetic Fortune-Telling Genetic Fortune-Telling

by MIT Technology Review Editors2018.03.01
DEREK BRAHNEY

いつか赤ん坊が出生時にDNA通知表をもらう日が来るかもしれない。通知表には、心臓病やがん、たばこ依存症などになるリスク、平均より優れた頭脳を持つかどうかなどが記されている。

100万人規模の遺伝子研究のおかげで、こういった通知表を実現する科学が一気に進歩した。

遺伝子占い

ブレークスルー
遺伝子を使って心臓病や乳がんになる可能性、あるいはIQですらも予想できるようになった。
なぜ重要か
DNAによる未来予想は公衆衛生にもたらされる次の大きな進歩になりえるが、遺伝子差別のリスクが増大するだろう。
キー・プレーヤー
ヘリックス(Helix)、トゥウェンティー・スリー・アンド・ミー(23andMe)、ミリアド・ジェネティックス(Myriad Genetics)、UKバイオバンク(UK Biobank)、ブロード研究所(Broad institute)
実現時期
実現済み

判明したのは、一般的な病気のほとんどや、知能などを含めた多くの行動や形質は、1つや2つの遺伝子だけでなく、多くの遺伝子が影響し合った結果だということだ。進行中の大規模遺伝子研究から得られたデータを使って、科学者は「多遺伝子リスクスコア」を作り出している。

新しいDNA検査が示すのは確率であり、診断ではない。だが、医学に大きな恩恵をもたらすかもしれない。たとえば、乳がんになる可能性の高い女性の方が低い女性よりも多くのマンモグラム(乳房のエックス線検査)検査を受ければ、こういった検査で多くの本物のがんが発見され、誤診を減らせるかもしれない。

製薬会社はアルツハイマー病や心臓病などの予防薬の臨床試験でも、これらのスコアを使える。より病気になりやすい被験者を選ぶことで、医薬品の効能効果をより正確に評価できる。

問題は、予想が完璧にはほど遠いということだ。アルツハイマー病を発症する可能性を誰が知りたいのだろうか。がんになる可能性が低い人が検査から外れ、その後がんにかかったらどうするのだろう?

多遺伝子スコアが疾患だけでなく人間の形質も予想できることも、議論の的になっている。たとえば、IQテストの結果の約10%を予想できるのだ。スコアの精度が向上すれば、DNAによるIQ予想がごく普通に手に入るようになるだろう。だが、両親や教育者はそうした情報をどう使うのだろうか?

行動遺伝学者のエリック・タークハイマーは、遺伝子データが良いことにも悪いことにも使われる可能性があるために、このテクノロジーには「刺激的な面と不安な面の両方があります」という。

(アントニオ・レガラード)

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