人気SFラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」では、黄色いバベルフィッシュを耳の中に入れると一瞬で翻訳してくれる。現実の世界ではグーグルが、159ドルでピクセル・バッズ(Pixel Buds)というイヤホンを発売し、当座の解決策を示した。このイヤホンはスマートフォン「ピクセル(Pixel)」とグーグル翻訳のアプリ上で動作し、実際にリアルタイムで翻訳する。
一人がイヤホンを装着し、もう一人はスマホを持つ。イヤホンを装着した人が自分の言語(英語がデフォルト設定)を話すと、アプリが翻訳してスマホから大きな音で読み上げてくれる。スマホを持った人が返答すると、翻訳された返答がイヤホンを通して流れてくる。
バベルフィッシュ・イヤホン
- ブレークスルー
- ほぼリアルタイムで翻訳するするうえに、多言語対応で、しかも容易に使えるようになった。
- なぜ重要か
- ますますグローバル化がすすむ世界では、言語がコミュニケーションの障害となる。
- キー・プレーヤー
- グーグル、バイドゥ
- 実現時期
- 実現済み
グーグル翻訳にはすでに会話モードがある。iOSアプリでもAndroidアプリでも、2人のユーザーが話すと自動的にそれがどの言語なのかを認識し翻訳する。だが、周囲の雑音のせいでアプリが話の内容を理解したり、話を止めて翻訳を始めるタイミングを見つけ出したりするのが難しいことがある。
ピクセル・バッズは、話の最中に右側のイヤホンをタップしたり長押ししたりすることで、こういった問題をうまく回避している。スマホを使わずイヤホン単独で操作ができる上に、スマホそのものをお互いに渡し合うわけでもないため、それぞれが自分のマイクを持ち、お互いの目を見ながら話ができる。
ピクセル・バッズのデザインは格好が悪いと酷評されている。確かに見た目は悪いし、耳につけてもうまく合わないかもしれない。スマホの設定も難しい。
だが、ハードウェアの冴えない点は修正可能だ。ピクセル・バッズは、ほぼリアルタイムで異なる言語を理解する道筋を示している。もちろん、魚も必要ない。
(レイチェル・メッツ)