3Dプリンティングは数十年も前からあるテクノロジーだが、その多くは一部の愛好家やデザイナーの間で一度きりの試作品として使われているだけだった。また、プラスチック以外の材料を使った3Dプリンティングの中でも、特に金属プリンティングは非常に高コストで恐ろしく動作が遅かった。
だが今では部品製造が現実的になるほど安価で簡単になってきた。広く普及すれば、多くの製品を大量生産する方法が変わるかもしれない。
短期的には、製造業者が大量の在庫を抱え込まずにすむだろう。中古車などの交換部品などはニーズに合わせてプリントすればいいからだ。
長期的には、限られた種類の部品を大量生産する大規模工場は、顧客の要請に応じて多様な品種を作る小規模工場に置き換わるかもしれない。
3D金属プリンティング
- ブレークスルー
- 金属3Dプリンターで金属製品がすばやく安価に製造できるようになった。
- なぜ重要か
- 顧客の要求に応じた大型で複雑な金属製品を作る能力が、製造業を一変するかもしれない。
- キー・プレーヤー
- マークフォージド(Markforged)、デスクトップ・メタル(Desktop Metal)、ゼネラル・エレクトリック(GE)
- 実現時期
- 実現済み
3D金属プリンティングを使えば、従来の金属加工技術では作れないような軽量で高強度の部品や複雑な形を作れる。また金属の微細構造も、より正確に制御できる。2017年、ローレンス・リバモア国立研究所の研究者が、従来の方法の2倍の強度を持つステンレス部品を作る3Dプリンティングを開発したと発表した。
同じく2017年、ボストン郊外に拠点を置く3Dプリンティング・スタートアップ企業のマークフォージド(Markforged)は、初めて10万ドルを切る金属3Dプリンターを発売した。
ボストンに拠点を置く別のスタートアップ企業、デスクトップ・メタル(Desktop Metal)は、2017年12月、初の試作用金属3Dプリンターの出荷を開始した。デスクトップ・メタルは、従来品と比べ100倍のスピードでプリントできる製造業向けの大型金属プリンターも発売予定だ。
金属部品の3Dプリンティングは容易にもなってきている。デスクトップ・メタルは、3Dプリンティング用の設計ソフトウェアを提供している。ユーザーがプリントしたい部品の仕様を入力すると、ソフトウェアが仕様に合ったコンピューター・モデルを構築するのだ。
自社の航空部品に3Dプリンティングを使うことを長年提唱してきたゼネラル・エレクトリック(GE)は(「10 Breakthrough Technologies of 2013: Additive Manufacturing」を参照)、高速で大型部品をプリントできる新しい金属3Dプリンターの試験機を作った。 GEは完成機を2018年に発売する予定だ。
(エリン・ウィニック)