17年もの間、ツイッターは、荒れに荒れ、怒りっぽく、時に面白く、時には恐ろしい、決して終わることのない世界的な会話の中心にあった。たった今、何が起こっているのか、他の人たちが何について話しているのかを知りたければ、行くべき場所はツイッターしかなかったと言ってもよいだろう。
しかしその後イーロン・マスクがツイッターを買収し、名前を「X」に変更して多くの従業員を解雇し、モデレーションと検証システムを多かれ少なかれ廃止した。そして、嘘やプロパガンダを広めて増幅させるクリエイターにインセンティブを与える、新たな財政構造を導入した。その結果、多くの人がツイッターに代わるサービス、理想的には個人の思い通りにはできないサービスを求めて動き始めている。
非中央集権型またはフェデレーション型のソーシャルメディアでは、アクティビティ・パブ(ActivityPub)、ATプロトコル、ノストラ(Nostr)などのネットワーキングプロトコルを使用して、独立してホストされているサーバーまたはプラットフォーム間での通信を可能にする。これにより、よりきめ細かなモデレーションや、企業の所有者や政府の検閲者の気まぐれに対する高いセキュリティ、そしてソーシャルグラフをコントロールする機会が提供される。1つのサーバーから別のサーバーに移動して、同じ人をフォローすることも可能となる。
確かに、非中央集権型ツイッターのようなサービスの夢は何年も前からあった。これまでの歴史には、「アップネット(App.net)」や「アイデンティカ(Identi.ca)」など、失敗した試みが数多くある。ツイッターに真の競争相手が現れなかったのは、ツイッターから離れる強い理由や、離れても行くべき場所がなかったからだ。しかし今、ユーザーにはその両方がある。
シミラーウェブ(Similarweb)によると、Xのトラフィックは前年比で20%近く減少している。アプトピア(Apptopia)による別の調査では、毎日のアクティブユーザー数が1億4100万人から1億2000万人に減少したことが明らかになっている。一方、マストドン、ブルースカイ、いくつかのノストラ・クライアントのような非中央集権型サービスの人気が急上昇している。
大きな勝利を収めているのはメタのスレッズだ。メタは9月に、スレッズにはすでに月間ユーザーが1億人近くいることを明らかにした(本記事の執筆時点ではスレッズはまだアクティビティ・パブ(ActivityPub)を実装していないが、実装することを約束している)。オタクに人気のマストドンはアクティブユーザー数が150万人と大きく離れて2位だが、ユーザーは増加傾向にある。ATプロトコルで動作するまだ招待制のブルースカイはユーザー数が200万人となっている。
そしてもちろん、ツイッターの息の根を止める真の存在は、イーロン・マスクに他ならない。