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生命の再定義

Covid variant tracking 新型コロナウイルス変異株追跡

新型コロナウイルスは地球上でもっとも遺伝子解析が進んだ生命体となった。新たな変異株が広がったらすぐに見つけられるようになっている。

by Antonio Regalado 2022.04.11
Andrea D'aquino
キープレイヤー
ジスエイド(GISAID)、ネクストストレイン(Nextstrain)、イルミナ(Illumina)
実現時期
実現済み

今回のパンデミックを通じて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性反応が出た鼻腔スワブのうち、およそ100本に2本が追加検査に回され、ゲノム解析が実施されている。その目的は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム、約3万個の塩基すべての最新遺伝子マップを作成し、変化の過程をたどることにある。

ウイルスの遺伝子を監視することで、科学者たちはアルファやデルタ、そして最近ではオミクロンといった変異株をすばやく特定し、警鐘を鳴らすことができた。これまでになかった試みであり、新型コロナウイルスは歴史上もっとも遺伝子の解析が進んだ生命体となった。それは、インフルエンザやHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、さらにはヒトのゲノムさえも上回るほどだ。ジスエイド(GISAID)ネクストストレイン(Nextstrain)などのオープンデータベースには現在、新型コロナウイルスの遺伝子マップが700万以上集まっている。

オミクロン株は、これまでにもっとも劇的な進化を遂げた変異株だ。南アフリカのある研究所が遺伝子を解析したところ、50以上の変異のあるゲノムが発見され、2021年11月に初めて警告が発せられた。その後すぐにシアトルやボストン、ロンドンのコンピューターにデータが入力され、「オミクロンは抗体をすり抜ける変異種であり、問題となる」という予測がはじき出された。

だが、遺伝子解析をもってしても、新型コロナウイルスの今後の進化に関する正確な予測は立っていない。そのため、新型コロナウイルスをさらに綿密に追跡すべきだという意見もある。解析の大部分は英国や米国、デンマークといった国でなされている。だが、新型コロナウイルスが解析能力のない場所で密かに進化する可能性もある。幸いなことに、南アフリカですばやくオミクロン株が特定され、その広がりが調査されたおかげで、世界は早期の警戒体制をとることができた。

MITテクノロジーレビューの「ブレークスルー・テクノロジー10」2022年版の一環として、オミクロン株について世界に警告を発した科学者をこちらで紹介している。

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