ストレスの多い現代人にとって、いかにして精神の健康を保つかは大きな課題となっている。運動が肉体面の健康を促進するだけでなく、精神面での健康にもたらす影響が大きいことはよく知られているが、2020年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで人々はステイホームを強いられ、スポーツジムの利用も困難になっている。
こうした状況の中で、「自分にしかできない技術で、人々を救えるサービスを提供したい」として、運動解析と生体力学的人間シミュレーションの技術に基づくオンライン・フィットネス・サービス「プレゼンス・フィット(Presence.fit)」を展開しているのが、米国のスタートアップ企業ニューラルエックス(NeuralX)の創業者兼CEO(最高経営責任者)の仲田 真輝だ。
仲田CEOは、「親しい関係者の中で精神疾患を患っていた人が多くおり、そういった人をどうにかして救いたい」と考え、脳科学や認知科学に興味を持ったという。早稲田大学大学院修士課程修了後に渡米し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で10年にわたって研究を続け、その成果で特許を申請。その後、人生の中で直面した課題である健康分野で貢献がしたいと考え、ロサンゼルスでニューラルエックスを設立するに至った。
仲田CEOの研究は、人間の筋骨格をコンピュータ上でモデル化し、人間の仕組みを脳・視覚・筋肉・骨格を含めて実現するというものだ。同社のサービスは、人工知能(AI)による動作解析を導入することで、エクササイズの回数、フォーム、ペース、カロリー計算を自動化し、それを人間のインストラクターと組み合わせたライブレッスンとしてユーザーに提供する。AIと人間を適材適所で活用することで、適切なタイミングで適切なユーザーにフィードバックを送ることができるのが特徴だ。
「今後は動作解析技術を基に、フィットネスからフィジカルセラピーやスポーツへとサービスを拡大し、動作分析・行動解析の必要とされる様々なマーケットにおいて、技術・サービス提供を通じて人々をより幸せにできるような活動をしていきたい」と仲田CEOは語る。
(中條将典)
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