ジャオ・シンペン(32歳)は、建物の屋根を周囲の気温より約3.5°C冷却できるガラスベースのコーティング剤を開発した。この技術により、中層ビルの空調エネルギー消費を約10%削減できる可能性がある。
現在、空調および冷却システムは、世界の温室効果ガス排出量の約7%を占めており、2050年までにその排出量が3倍に増加すると予測されている。これに対し、エネルギーを使用せずに冷却効果を発揮する「受動的冷却材料」は、有望な代替手段として注目されている。
この種の冷却材料は以前から存在していたが、ほとんどがポリマーやプラスチックをベースとしており、長期間の屋外環境に耐えられない問題があった。ジャオによると、これらの材料は数日間屋根に置いただけで最大30%の性能を失い、黄色く変色する。「数カ月後には冷却効果がほぼ完全に失われてしまう」という。
この耐久性の問題を解決するため、ジャオはプラスチックの代わりに微細なガラスと酸化アルミニウムを活用した。この新しいコーティング剤は、建物、車両、道路などにスプレーや塗装で簡単に適用できる。その主成分である酸化アルミニウム粒子(約500ナノメートル)は、最大99%の太陽光を反射するように調整されており、熱を吸収しにくい特性を持つ。
この技術を市場に投入するため、ジャオは「セラクール(Ceracool)」というスタートアップを設立し、さまざまな用途に対応する新たなコーティング剤の開発を進めている。