ヤユアン・リウは、熱に頼らないモジュール式の二酸化炭素回収装置の開発に取り組んでいる。大気に含まれていたり、稼働中の工場から排出されたりする二酸化炭素を回収することは、気候変動対策においてますます重要となっている。しかし今日、二酸化炭素回収に使用されている熱化学的な仕組みでは、ほとんどの場合、二酸化炭素回収施設を備えた工場を、大規模に年中無休で操業する必要がある。そのうえ、熱を発生させるために化石燃料を使うことも未だにある。
リウは、従来の方式に代わって、より広範囲での利用が可能であり、かつ気候に優しい新たな二酸化炭素回収の方法を開発している。具体的には、熱化学的な仕組みを電気化学的反応に置き換えることで、二酸化炭素を常温かつより小規模な環境で、分割・分離できるようにするのである。「将来的には、各家庭に小型の炭素回収装置があり、自宅から排出される二酸化炭素を処理できるようになること」を思い描いている。
リウは、二酸化炭素回収のために使用できる、窒素ベースの分子20種を新たに開発し、一部はほぼ完全な効率を達成している。だが、実用可能な分子の発見は最初の一歩に過ぎない。これらの分子を速やかに実用化するために、リウは現在、専門である電気化学の枠を超え、工学、材料科学、生物学を応用する学際的な研究グループを率いている。
(ヤン・ズェイ)