ジャーウェン・リー(34)は、心臓外科医がしばしば直面する問題を助ける、小さなデバイスを開発した。その問題とは、どの患者が最も心臓発作のリスクが高いかを特定することだ。
リーのイノベーションである3Dプリンター製の超薄型内視鏡は、血管内を観察し、生涯を通じてコレステロールが溜まるプラーク(コブ)の高画質画像を生成できるよう設計されている。プラークのほとんどは大きな危険をもたらさないが、特定の種類のものは動脈を塞ぎ、破裂する可能性がある。現在、医師が使っているプローブ(探針)はいずれも、どのプラークが問題を起こす可能性があるかを高い信頼性を持って特定できるほど高性能ではない。これはしばしば高価な過剰治療、さらに悪いことに突然死につながる。
オーストラリアのアデレード大学の医用生体工学者であるリー上級講師は、動脈内に収まるほど小さいながらも、臨床医が必要とする画質を提供できる「カメラ」の開発に挑んだ。同上級講師の手法は、塩の一粒にも満たない大きさの単一レンズに2光子画像化技術を組み合わせたもので、プラーク構造の高解像度画像と、破裂の可能性に関する分子的な手がかりが得られる。同上級講師はドイツの研究者と共同で、人間の髪の毛ほどの細い光ファイバー・ケーブルに3Dプリンターでレンズをプリントし、動脈から心臓へ挿入する方法を開発した。
リー上級講師とチームはブタでこのデバイスの試験に成功し、ヒトでの臨床試験に向けた取り組みを進めている。心研究者たちは、疾患診断の改善に加え、ゆくゆくは胆管(消化を助けるため胆のうから小腸に胆汁を運ぶ)や肺といった画像化が困難な部位のがん検出に役立つ可能性があると考えている。
(ジョナサン W. ローゼン)