コンピューターの小型化や高性能化を推進した「ムーアの法則」は、人工知能(AI)やクラウド・コンピューティング、自律運転などを可能にした。しかし、ムーアの法則は限界に達しつつある。1枚のシリコンチップに詰め込まれた数十億ものデバイスは、物理の法則に反しない範囲でしか小さくなれないからだ。カーネギーメロン大学のシュウ・チャン助教授(34)は、わずか原子数個分の厚みの2次元半導体を開発することで、この問題に取り組んできた。「半導体を3Dから2Dにすることで、コンピューティング技術を原子レベルの究極の限界まで押し進め、将来のユービキタス・コンピューティングやアンビエント・インテリジェンスを実現できるのです」と、チャン助教授は語る。