Moses Namara モーゼス・ナマラ (29)
黒人向けの大学院進学メンター・プログラムである「ブラック・イン・AI」を共同で設立し、進学希望者に情報を提供することで、黒人学生のAI分野への進出を阻んでいる障壁を取り除こうとしている。
モーゼス・ナマラは、2つの基本的な真実を知っていた。ひとつめは、人工知能(AI)の誤用は世界の黒人コミュニティに対してより大きな損失をもたらしていること。ふたつめは、大学のAI課程に黒人が非常に少ないことだ。2018〜2019年の学期に実施された調査によれば、米国でコンピューター科学の博士課程に進学する学生のうち、黒人はわずか1.8%でしかない。修士課程をみても、これより多少ましな程度だ。
ナマラは、入学を妨げる障壁はしばしばリソースに起因し、そのようなリソースの一部は、メンターシップ・ネットワークを通じて提供できると考えている。「ひとつは情報です」と、ナマラは言う。例えば、学部生の時にどんな研究テーマに取り組むべきなのか、どの大学院の課程やどの指導教員が自分の関心に合っているのか、実際に出願する際に生じる多額の負担を軽減できるようなリソースとしてどんなものが用意されているのかといったことを、大学院進学希望者は知りたがっている。「どこで情報を探せばいいのかわからなければ、最初の一歩からつまずいてしまい、合格は遠のきます」と、ナマラは言う。
そこで2018年、ナマラは「ブラック・イン・AI(Black in Artificial Intelligence)」と名付けた大学院進学メンター・プログラムを共同で設立し、大学院進学希望者たちの支援を開始した。「ブラック・イン・AI」リソース・グループを通じて運営されるこのプログラムは、これまでに400人の進学希望者に情報を提供し、うち200人は競争率の高い大学院のAI課程に進学した。同プログラムは、現役大学院生や教授たちによるメンターシップ、CV(履歴書)評価、出願先のアドバイスなど、幅広いリソースを提供している。ナマラは現在、メンターシップ制度の次のステップへの発展を計画している。すなわち、黒人の修士号・博士号取得者の就職支援だ。
(Abby Ohlheiser)
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