Dorsa Sadigh ドーサ・サディ (30)
シミュレーション環境を使って人間の行動をモデル化することにより、ロボットにもっと上手に人間と関わる方法を教える方法を開発した。
スタンフォード大学のドーサ・サディ助教授は、コンピューターが人の行動を予測するための新しい方法を開発することで、人間とロボットが道路を共有するような未来への道を切り開きたいと考えている。
2016年に広く取り上げられたある論文で、サディ助教授は同僚と共に、1台は人間が運転し、もう1台はコンピュータープログラムが運転するという2台の車の理想的な状況を検討した。サディ助教授は最初に、ビデオゲームのようなシミュレーション上で、あらかじめ計画されたルートをたどる数台の自律走行車と一緒に、人間に車を運転させた。次に、シミュレーションでの人間の行動に基づいて、人間がどのように運転するかというモデルを構築。そのモデルを使用してロボットドライバーに、人間と関わるための新たな戦略を考案させた。
するとロボットドライバーは、一度も明確に指示されなくても、交差点でゆっくりとバックしたり、「人間」に先に行くように促すような行動をとったりした。さらに、人間のドライバーの車の前に割り込んだり、車線を変更させるためにハンドルを切ったりするふるまいも身に付けた。
最近では、サディ助教授と、当時サディ助教授の研究室での博士研究員をしていたディラン・ロージーが、ゲームにおいて、シミュレーション設定を使って人間をだます方法をロボットに教えた。ゲームの内容は、テーブルに皿を運ぶ仕事でどちらがより多くの仕事を担当するかを交渉するというものだ。「ロボットは2枚のお皿を運ぶことができますが、全体的な労力を減らすために1枚しか運ぶことができないと人間に思い込ませます」とサディ助教授らは論文の中で説明している。
ロボットに怠惰になるように教えることは特に価値のあることには思えないかもしれない。しかし、サディ助教授とロージー博士は、将来の、例えば脳卒中患者の回復を助けるためにロボットが必要とされるかもしれない状況を想定している。ロボットは、「ユーザーの参加意欲を高めるようなインテリジェントな意思決定をする必要があります」とサディ助教授らは言う。
(Will Douglas Heaven)
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