エマ・ビードはちょっと変わった技術的名声を手にしている。勤務先であるグーグルの新技術の一つが、現実世界に導入される前に重要な改良が必要であることを研究によって明らかにしたのだ。
ビードは研究で、グーグル・ヘルス(Google Health)が開発した深層学習アルゴリズムをテストして、高血糖が原因で網膜が傷つき光を感知しづらくなる「糖尿病網膜症」の眼球画像をスクリーニングした。すると、実験室では90パーセント以上の正確さで動作していたこのアルゴリズムが、タイの11のクリニックでの実証試験では問題が生じていることがわかった。
このアルゴリズムは高品質の眼球スキャン画像を使って訓練されていた。そのため、照明不良などのせいでクリニックで撮影された画像の品質が低下すると、スキャン画像が使い物にならなくなることが原因であった。網膜スキャン画像の20パーセント以上が使えないことに不満を感じた患者と医療提供者は、従来型の代替手段を探している。
今回の結果は、人間が使う人工知能(AI)搭載ツールを実際に導入する前には、きめ細かで厳密なテストをしなければならないことを示す重要な例であるとビードは考えている。「現実世界の人間は複雑なので、そのことを考慮すべきです。利用者への影響を調査して、損害を与えるリスクを軽減できるように適正な評価をする必要があります」。
( Neel V. Patel)
- 人気の記事ランキング
-
- How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
- OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
- 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
- AI means the end of internet search as we’ve known it 「ググる」時代の終わり、 世界の知識を解き放つ 生成AI検索がもたらすもの