ヴィクター・アダルシュタインソンは、マサチューセッツ州ケンブリッジのブロード研究所にある自分の研究室に、血液サンプルの中から腫瘍DNAを見つけだす自動システムを導入した。いわゆる「リキッドバイオプシー」と呼ばれる手法だ。進行がんに関する遺伝情報を収集することができれば、がんが末期へと進む原因と、その際、患者に投与すべき医薬品のヒントを得られる可能性がある。
アダルシュタインソンが博士課程に在籍していた時、母親は乳がんで亡くなった。現在、アメリカ全土で乳がんと闘う女性に採血管を送るというプロジェクトを含む、いくつかのプロジェクトを通して治療法を改善しようと試みている。アダルシュタインソンは、「これまでは、医師と患者は幸運を祈って、待つことしかできませんでした」という。「それが今では、医師は治療に対する患者の反応を注意深く観察し、治療が失敗する原因を特定できます」。
(アントニオ・レガラド)