ビル・リウは、サムスンやLG、レノボにはできないことができると考えている。それは、曲げたり、折りたたんだり、チューブに巻くことができる、手頃な価格のフレキシブルな電子回路を製造することだ。
同様の考えを持つ研究者や企業はほかにもあるが、リウは自身のビジョンをいち早く商用化した。 2012年には、ロイヤル(Royole)というスタートアップ企業を設立、2014年には最高経営責任者(CEO)としてリーダーシップを発揮し、世界で最も薄い、曲げられるディスプレイを発表した。決められた形にしか曲げられない競合のテクノロジーと比較して、ロイヤルのディスプレイはタマネギの皮と同じくらい薄く、ペンの周りに巻きつけることもできる。
ロイヤルのディスプレイは、簡易で低温の製造プロセスを使って製造されるため、競合品に比べて低コストで製造できる。中国の深センに自社工場を構え、約10万平方メートルの生産施設を建設中だ。完成すれば、年間5000万枚のフレキシブルパネルが生産できるという。
リウの夢は、時計、スマホ、タブレット、テレビの長所を兼ね備えたオールインワンのコンピューティング・デバイスを作ること。「私たちのフレキシブルなディスプレイとセンサーは、いずれその夢を実現すると思います」いう。今のところ、ユーザーが3次元の映画やビデオゲームを見るには、ゴーグルのような、799ドルのヘッドセットを使わざるを得ない。
(エリザベス・ウィイケ)