伝統的な映画製作の手法が、実質現実(VR)にはうまくあてはまらないというのはよくある話だ。では、どういった手法ならばうまくいくのか。ジェシカ・ブリルハートはこの数年間、当初はグーグルの主席VR映像作家として、そして現在は無所属の映画作家として、この問いに向き合い続けてきた。
ブリルハートは早くから、監督のビジョンが最優先される従来の映画製作の考え方は、VRにはあてはまらないことに気がついていた。観客は、製作者が意図した部分に注目してくれるとは限らない。ブリルハートは、こういった「観客の反乱行為」を受け入れるとともに、「今まで考えつかなかったような大胆な映像が作り出せるように、観客が後押ししてくれるのです」という。「もはや、構図が作品の中心的なコンセプトではないという事実にわくわくします。世界を自由に構築することができるのですから」。
(カレブ・ガーリング)