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Christine Ho クリスティーン・ホー (33)
クリスティーン・ホーが設立したスタートアップ企業は、カリフォルニア大学バークレー校で自身が開発した薄くて柔軟性のある印刷可能な電池を事業化している。
インプリント・エネルギーの亜鉛電池は、ウェアラブル電子機器や健康監視用パッチ、小さなセンサーに欠かせない、といわれています。逆にいうと、どうして、既存の電池はこうした機器で使えないのでしょうか?
多くの既存の電池には、プラスチックや金属製の台座、保護回路が必要です。電池は本来制御しにくく、化学反応を起こしやすいため、安全に保たなければいけません。インプリントの手法は、機密性を保たなくても、根本的に安定した化学性質を使う点で面白いのです。パッケージングをシンプルにできるし、薄くもできます。亜鉛電池の長所は材料の費用効率が高く、簡単に入手できることです。毒性もありません。

どうして亜鉛電池は電子機器の電源として普及していないのでしょうか?
通常の亜鉛電池は、腐食性の電解液が一緒に使われていて、取り扱いが難しいのです。特に、身につける用途の機器に、そんな電池は使いたくないでしょう。亜鉛は本来、充電可能な電池にできないのも理由です。
問題をどのように克服したでしょうか?
亜鉛電池は、ちょうどサンドイッチのような積層構造になっています。イチゴジャム・サンドイッチのイチゴジャムの部分に電解液があります。私のアイデアは、電解液の部分を取り除き、亜鉛化合物と安定的な再充電可能な物質に置き換えれば、全く新しい電池市場を切りひらける、ということです。さまざまな材料を検討しました。文字通りバケツに投げ入れて、うまくいくように祈るようなことです。あるとき、検討中の材料の組み合わせのひとつで、とても興味深い結果が出てきました。簡単にいえば、この材料は手に取ったり、フィルム状に成形したりできるのです。切ったり伸ばしたりできる上に、物質内は動き回るイオンがあるのです。
(レイチェル・メッツ)
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クレジット | Photos by Timothy O’Connell |
著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |