化学工学と材料科学が専門のビビアン・フェリー助教授は青緑色のゴム手袋をはめて、透明な液体が入った口紅サイズの試験管を持っている。試験管に紫外線を当てると、中の液体が明るい蛍光オレンジに変わった。液体に浮かぶ非常に小さな結晶がエネルギーの高い青色の波長を吸収し、エネルギーの低い赤色の波長を放出したのだ。
従来の太陽電池は限られた光の波長を吸収するため、ほとんどの太陽エネルギーを逃してしまう。もし太陽電池がもっと多くの光を捕らえられれば、発電量が増え、太陽光発電がもっと安くなる。そこでフェリー助教授は、発光性の結晶に加え、特定の波長を捕らえて太陽電池に光を向けるナノ構造の非常に小さな金属製の鏡に目を付けた。
現在、フェリー助教授はセレン化カドミウムと硫化カドミウムで発光性のナノ結晶を作っているが、カドミウムは有害な金属なので、どちらも理想的とはいえない。しかしフェリー助教授が豊富にある物質で無害化(その後でコストの削減)できれば、このテクノロジーはまだ有望だ。
(エミリー・ソーン)
- 人気の記事ランキング
-
- Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
- Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
- Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
- How to help friends and family dig out of a conspiracy theory black hole 家族が陰謀論にハマったら: 専門家が語る、 5つの現実的アプローチ
- What is the chance your plane will be hit by space debris? 空からゴミが降ってくる—— 衛星10万基時代のリスク、 航空への影響は?【解説】
| タグ | |
|---|---|
| クレジット | Photo by Hunt and Capture |
| 著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |
