コンピューター設計者は長い間、RAM(動作は速いが高価で不安定、保存した情報を保持するには電力供給が必要)とフラッシュ(安定しているものの比較的動作が遅い)を組み合わせて使わずに済む、汎用性の高いメモリー・テクノロジーを待ち望んできた。
ムーアの法則(シリコン・トランジスターの小型化が進むペースの指標)が効力を失うにつれて、状況は緊迫の度合いを増してきている。もしRAMチップに多くのトランジスターを取り付けられなくなるのなら、膨大な量のデータの保存が可能な早く安価で新しい安定したメモリー・テクノロジーを見つけ出す必要がある。
RAMとフラッシュの組み合わせに代わる可能性のひとつが相転移材料だ。新しいタイプのメモリーは、トランジスター内の電流のオンとオフの切り替えではなく、カルコゲナイドガラスと呼ばれる素材が非結晶と結晶で変化することでデータを保存する。RAMのように早く、フラッシュのように安定的である可能性をあるテクノロジーだ。2010年から、シンガポール工科・デザイン大学のデスモンド・ローク助教授は、商業化の妨げとなるいくつかの結晶の問題点の解決に取り組んできた。
最新の成果で、ローク助教授は現在、RAMチップと同等に早く、フラッシュ・ドライブよりも数倍多いストレージ容量のある相転移メモリーを作成した。
ここ数年、研究者は通常の結晶から非結晶ガラスへの素材変化(1と0の状態)で、50ナノ秒以下の速度を実現できなかった。一方RAMチップがオンとオフを切り替えるのにかかる時間はナノ秒以下だ。しかし、ローク助教授は素材にわずかに一定の電流を流すことで、切り替え時間をナノ秒の半分にまで減らせることを発見した。ローク助教授はまた、メモリーセルの大きさを数ナノメーターの大きさまで縮小させた。電力消費を大幅に減らし、より大きなメモリー容量を確保するために三次元的に積み重ねることを可能にする方法も実現させた。
(マイケル・ライリー)
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