曹慶(IBM研究所)

Qing Cao 曹慶(IBM研究所)

曹研究員の発明は、シリコン製トランジスターをより効率の良いカーボンナノチューブに置き換えるという、IBMの10年以上にわたる計画を支えている。 by MIT Technology Review Editors2016.08.24

2001年

IBMの研究者が、カーボン・ナノチューブ製トランジスターの製造方法を考案する。

2002年

IBMの研究者が、カーボン・ナノチューブ製トランジスターなら現在もっとも高性能なシリコン製トランジスターの2倍以上の電流を流せることを示す。シリコン製トランジスターよりもカーボン・ナノチューブのほうが高い性能を発揮できると考えられるようになる。

IBMワトソンリサーチセンターのツァオ

2006年

シングル・カーボン・ナノチューブを使った最初の集積回路がIBMで開発される。

2008年

イリノイ大学の博士課程で研究していた曹慶(サオ・チン)が、柔軟性のあるプラスチックの基板上にナノチューブの回路を印刷する技術を発明する。

2013年

IBMで、曹研究員が機械力を利用して純化したナノチューブを水中で押し固め、高密度で整った配列を作り出す手法を開発する。

2015年

曹研究員が、商品化可能なナノチューブ製トランジスターの実現に向けた本質的な障壁を克服する。金属の原子をナノチューブの先端に溶接することで、金属ワイヤーをカーボン・ナノチューブに接続する方法を編み出したのだ。

2016年

IBMがカーボン・ナノチューブを社内での半導体研究のラインに組み込み、テクノロジーの高度化、スケールアップに取り組み始める。

2020~2025年

IBMはカーボン・ナノチューブ製トランジスターをシリコン製トランジスターに置き換えようとしている。ナノチューブ製トランジスターはシリコンに比べて2~3倍高い性能を発揮し、消費電力は半分になると見積もられている。

(エリザベス・ウォイク)