ローズ・ファギーの計画がうまく運べば、一見シンプルなスマートウォッチを使って、脳の奥で起こっていることを知ることができるようになるかもしれない。
ファギーが開発したのは、ストレスや刺激の重要な指標である発汗活動における、これまで分析できなかったような微小な変化を分析するアルゴリズムだ。ファギーは、発汗で起こる皮膚伝導の変化をモニターするために、スマートウォッチの背面に2つの小さな電極を取り付けた。そして、信号処理アルゴリズムで、これらの変化を心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連するフラッシュバックや注意力の低下などの特定の出来事と関連付け、脳の状態を正確に把握できるようにした。
一般的に、この種のリアルタイムデータを得るには、脳波やfMRIのような頭皮に取り付ける高価な電極システムを使う必要がある。理論的には、ファギーの 「マインドウォッチ(Mindwatch)」は、人々が自分の脳の状態をどこでもモニターできるほど安価で持ち運び可能なものとなるだろう。
ファギーは、人々が自分の変化する気分や精神状態を管理するのにマインドウォッチを役立ててほしいと考えている。ファギーの発明したテクノロジーを搭載したウェアラブル端末は、興奮した運転手に深呼吸するよう勧めたり、孤独な引きこもりの人に気分を盛り上げる音楽をかけるよう促したりできるだろう。精神疾患や糖尿病などの慢性疾患を持つ人のために、自動脳深部刺激装置やインスリンポンプを起動させることも可能になるかもしれない。
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クレジット | Jeff Lautenberger, Cullen College of Engineering, University of Houston |
著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |