アイメア・ドランが初めて1型糖尿病治療のための埋め込み型医療機器の開発に取り組んだとき、ドランと彼女の同僚たちはある障害を克服しなければならなかった。ドランたちが直面したのは、ペースメーカーやインスリン送達システム、乳房インプラントのような装置の製造者が長い間にわたって悩まされてきた問題だ。埋め込まれた異物を感知すると、体は繊維組織の保護壁を構築する。この反応は異物反応として知られ、医療用インプラントが上手くいかない主な原因のひとつとなっている。
現在、アイルランド国立大学ゴールウェイ校の生物医学エンジニアであるドランは、この異物反応に対抗する方法を発見したと考えている。それは、ダイナミック・ソフト・リザーバーと呼ばれる小型のロボット装置だ。ゴールウェイ国立大学のドランの研究室とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者の共同研究によって開発された。この装置は振動させることができる柔らかい素材でできており、十分な流体の流れを作り出すことで、インプラント周囲の環境を変化させ、保護組織を形成させないようにできる。
研究者はこれまで、医薬品を使用したり、インプラント表面の化学的性質を変えたりして、異物反応に対抗しようと試みてきた。ドランたちのイノベーションは、機械を使ってこの問題に取り組んだ初めての成功事例であり、すでにラットでのテストに成功している。「この装置の優れた点は、薬物を使用せずに済むことです」とドランは言う。
ドランのチームは現在、「バイオ人工膵臓」を作るための試みの一環として、このダイナミック・ソフト・リザーバーを再設計している。バイオ人工膵臓は、1型糖尿病の患者のためにインスリンを生成する埋め込み型のリザーバーだ。このような装置を使用した初期の試みでは、体内で拒絶されて失敗する傾向が特に高かった。ドランは、自身のチームがその結果を変えることができ、最終的には、他の埋め込み型装置を使った処置の成功率を向上させられると考えている。