Tony Pan トニー・パン (34)
パンがCEOを務めるモダン・エレクトロンは、自宅で効率よく発電できるミニ発電所を作り、温室効果ガス排出量の削減に寄与しようとしている。
モダン・エレクトロン(Modern Electron)は古いテクノロジーに現代的な味付けを加えている。シアトルのスタートアップ企業モダン・エレクトロンは、コンピューター・シミュレーションや新素材を利用して新しいタイプの熱電子発電器を作り出した。1950年代に開発された熱電子発電器よりも、熱を電気に変換する効率に優れている。
モダン・エレクトロンの共同創業者および最高経営責任者(CEO)のトニー・パンは、このテクノロジーを利用して、家庭用ボイラーや暖炉を住宅用のミニ発電所に変えようと考えている。家庭用ボイラーや暖炉は、一般的に天然ガスや石油を利用して水や屋内を温める。パンは家庭用太陽光パネルや太陽電池と組み合わせれば、中央集中型の発電所よりはるかに安価かつ効率的に住宅用電力を生成できると述べる。
パンの製品が広く採用されれば、中央集中型の石炭または天然ガスプラントからの電力依存を減らせるだろう。
熱電子発電器は、真空で遮断された一対の金属板で構成される。炉の炎などからの熱によって片方の金属板の電子が攪拌(かくはん)、励起され、真空部分を超えて冷たい方の金属に飛び移り、電流を生成する。金属板を丸めてライトセーバーのハンドルに似た筒状にして、ガスバーナーの上に設置できるようにしたものもある。
住宅居住者は通常は屋上の太陽光発電を利用し、夜間や曇りの日、冬期はモダン・エレクトロンの熱電子発電システムを利用できる。パンの製品が広く採用されれば、中央集中型の石炭または天然ガスプラントからの電力依存を減らせるだろう。中央集中型の発電では、燃料の燃焼と数百キロメートルにわたる送電線による電力供給の間に大量のエネルギーが浪費される。モダン・エレクトロンの熱電子発電システムを利用すれば、電力部門の温室効果ガス排出量を削減できるとパンは言う。
さらに、モダン・エレクトロンのテクノロジーは他の燃料でも機能する。一部の企業や地域が模索しているように、住宅用暖房システムが最終的に水素などを利用した低排出または排出量ゼロの熱源にシフトすれば、熱電子発電器は大気汚染物質を大きく減らせる可能性がある。
また、パンは開発途上国では、この装置がさらに大きな影響を及ぼす可能性があると考えている。コミュニティが独自のミニ発電所を設置できれば、中央型発電所および配電システムの構築に必要な莫大な費用と時間を節約できる。それによって、地方の電化がより早く実現するだろう。
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