カーネギーメロン大学のベンカット・ビスワナサン准教授は、純粋なリチウムを使ったアノードの開発で大きな発展を遂げた。より多くのエネルギーを詰め込み、重量あたりより多くの電力を供給できる新種のバッテリーが期待されており、より安価な電気自動車と炭素排出の低い航空機が実現するかもしれない。
リチウム金属アノードがグラファイト製の電池よりも電池の性能を向上させる可能性があることは、長い間研究者の間で認識されていた。しかし、リチウムイオンが蓄積するにつれて、針状の「デンドライト」が発生する傾向があり、その結果、電池の寿命が短くなり、火花が発生することもある。ビスワナサンはこの問題を解決するため、電極間に配置するポリマーとセラミックのハイブリッド・セパレーターを開発した。デンドライトの形成を防ぐために十分な圧力をかけても、電池内にイオンを流して電流を生成できる。
ビスワナサンの研究チームは、米国エネルギー省エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)のムーンショット(挑戦的な研究開発)プログラムから400万ドル以上を確保。バッテリーメーカーの24Mテクノロジーズ(24M Technologies)と提携して、商用サイズのリチウム金属セルを製造およびテストした。
ビスワナサンはまた、米オーロラ・フライト・サイエンシズ(Aurora Flight Sciences)とエアバスA3(Airbus A3)と協力して、大都市圏をすばやく移動するエアタクシーまたは救急搬送機の役割を果たせる垂直離着機のバッテリー設計に取り組んでいる。