クリスティーナ・ボヴィレ最高経営責任者(CEO)は、化学反応を制御する生物学的方法を改良するプロセスの設計に協力した。ボヴィレCEOは、生細胞内で化学反応を可能にするタンパク質である天然酵素を使い、それに手を加えることで、自然界には存在しない有用な化学物質を生成する。このアプローチでは、製薬業界で使用される化合物の製造時間を数カ月から数日に短縮し、廃棄物を最大99%削減し、エネルギー消費を半分に削減できる。
2019年にボヴィレCEOは、デヴィッド・ロムニー最高技術責任者(CTO)、および指向性進化法と呼ばれる酵素生成の新たな手法の開発で2018年にノーベル賞を受賞したフランシス・アーノルド博士とともに、アラレズ・バイオ(Aralez Bio)を創業した。ボヴィレCEOのプロセスでは、非標準アミノ酸(ncAA)と呼ばれる化学物質が生成される。非標準アミノ酸は、片頭痛や糖尿病などの薬を含む200種類の売れ筋の医薬品のうち12%の製造に使用されているほか、農業でも使用されている。「自然界は20種類のアミノ酸で作られましたが、当社の酵素を使えば、さらに数百種類のアミノ酸を作ることができます」とボヴィレCEOは述べる。医薬品原料の「製造には通常、5〜10のステップが必要ですが、当社は1ステップで製造できます」とボヴィレCEOは付け加える。
アラレズ・バイオは最近、ある製薬会社から、従来の方法では製造に9カ月かかっていた非標準アミノ酸を製造するように依頼された。ボヴィレCEOの酵素は、その非標準アミノ酸を一晩で作ることができる。