ナタリヤ・ベイリーは、小さいものでは靴箱サイズから大きいものでは冷蔵庫サイズに至る人工衛星を、ほぼ10セント硬貨大のエンジンで推進する方法の開発に貢献した。このエンジンはいわゆるエレクトロスプレー推進のアイデアに基づいており、電気エネルギーを使用して小型ロケットを駆動する。
エレクトロスプレーの技術は長年にわたって研究されてきた。研究者は1950年代にこの技術の研究を始めたが、当時の取り組みは断念された。非常に高い電圧を必要としたことと、関連する物理学がよくわかっていなかったことが理由だ。ベイリーは、エネルギー効率が良く、毒性のある推進剤や加圧タンクを必要としないエレクトロスプレーの利点を活かすことができた。人工衛星のサイズに応じて、単独で使用したり、他のエンジンと一緒に使用したりできる小型エンジンを作成したのだ。
ベイリーは、このテクノロジーを商品化するための企業、アクシオン・システムズ(Accion Systems)をボストン郊外に設立した。ベイリーは、ロケット科学の分野は男性中心の世界のように感じるが、うまくいったという。「この分野に極めて少ない女性の一人であることで、余計に目立っています。そして、恐らくそのおかげで、他の分野では得られなかったであろう機会に恵まれたのだと思います」。
(エリカ・ベラス)