KADOKAWA Technology Review
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構想者
35歳未満のイノベーター35人 2018構想者
新しい視点で物事を捉え、強力かつ時に型破りなテクノロジーの使い方を見出す。

Archana Kamal アルチャナー・カマル (34)

所属: マサチューセッツ大学ローウェル校

量子情報を伝送するコンポーネントを縮小することで、量子コンピューティングの難題を解決した。

量子コンピューティングが研究対象から実用化に向かうにつれて、グーグルやインテルといった企業は難しい問題の解決に苦慮している。その問題とは、量子コンピューターが出力する量子情報を、いかにして従来のコンピューターに正確に誘導するかということだ。暗号処理やその他の分野で大きな成果が期待される量子システムを有用なものにするにはおそらく、通常のコンピューターがその計算結果を読み取れることが前提となるからである。

マサチューセッツ大学ローウェル校のアルチャナー・カマル助教授がこの問題を解決した。カマル助教授は、量子情報を量子コンピューターから移動させる前に、誘導して伝送用に増幅させられることを実証した。これまで量子情報の伝送には、大きな磁石や単一のチップには収まらないほどの複雑なデバイスが必要だった。このことがデータの遅延や損失を招き、現在のキュービット・システムの規模を拡大するうえでの大きな障害となっていた。

カマル助教授のイノベーションは、情報を運ぶ光信号の経路をわずかに変更することで、信号を伝送するコンポーネントの大きさを25セント硬貨大から数マイクロメートルにまで小さくしたことだ。「この違いは大きいです。この仕組みを使えば、信号の高い忠実度を保ったまま、チップ上で大量の量子信号を処理できます」とカマル助教授は語る。

(ラス・ジャスカリアン)

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