7年前、イン・チー(印奇)は大学時代の友人2人と一緒に北京でメグヴィー(Megvii)という会社を設立した。今では220を超える国や地域の人々が、メグヴィーの顔認識プラットフォーム「フェイス・プラス・プラス(Face++)」を利用しており、同社の従業員は1500人を超える。
フェイス・プラス・プラスは中国で、オンラインとオフライン両方のビジネスを変えた。地下鉄や電車の駅では、効率良く改札を進めるために顔認証が使われており、銀行アプリではユーザーの本人確認のために使われている。
中国にあることがメグヴィーにとって有利に働いている。欧米では、顔認証はスマホのロック解除など、消費者を優先した利用法に限られているが、中国ではすぐに政府や大企業が強力に後押しする。こうした事情から、メグヴィーは治安や不動産、金融、小売など幅広い業界に向けてアルゴリズムを商品化するチャンスに恵まれている。
インは顔認証にはプライバシーの問題があることを認めており、メグヴィーの製品は機密性の高い生データをクラウドにアップロードせず、ローカル・デバイスで処理するという。また、ユーザーのプライバシーに関しては、業界全体で標準化したいと考えている。「顔認証技術を適切に運用管理するシステムがあれば、その恩恵は不利益を上回ることでしょう」。
(イェティン・サン)