スポーツ界ではいま急速に「スポーツ医科学」が発展しつつあります。世界各国では身体の最先端の研究がスポーツという極限の状況で行なわれており、その成果は人々の健康に還元されていきます。一見無関係に感じるようなアスリートの体づくりや試合中に怪我があった際の対応やデータなども、全て医科学の研究場所となり我々の生活と結びついています。たとえば、1964年の東京オリンピックの競技者は、関節などに故障を抱えていても健康に歩ける方が多いと言われています。データを見ていくと、理由は若い頃からの運動習慣により筋力や骨密度が高いことであり、あらためて若い頃からの運動習慣の重要性を科学的に理解することができます。
これから前例のない高齢社会を迎える日本にとって「健康」は社会問題であり、解決でも予防でも健康に関連する市場規模は伸び続けていくことは間違いありません。「スポーツ」と「医科学」が結託することで「健康イノベーション」が起き、その影響はアスリートだけでなく社会全体や人々の生活にまで大きく及ぶことでしょう。
MITテクノロジーレビューは6月6日、「MITTR Emerging Technology Conference #6〜スポーツ医科学と健康の未来〜」を開催します。ゲストには、アイスホッケー東北フリーブレイズのチームドクターを務め、世界のスポーツ医科学の最新潮流にも精通している牧田総合病院の朝本俊司氏をお招きして、「なぜ今スポーツ医科学なのか?」「世界と日本の現状」「スポーツ医科学が引き起こすビジネスインパクト」などをお話いただきます。
第1部は、朝本氏よりスポーツ医科学の現状や各国の取り組み、日本の立ち位置について講演いただきます。
第2部では、MITテクノロジーレビュー編集部も参加し、スポーツ医科学がこれから社会や個人の生活をどう変化させるのか、またどのようなビジネスチャンスが生まれるのかについてディスカッションします。
登壇者
朝本 俊司(あさもと しゅんじ)
国際医療福祉大学医学部 三田病院脳神経外科教授を退職し、2017年8月より牧田総合病院脳神経外科脊髄センター部長に就任。スポーツ医科学の臨床の現場と研究に集中。日本アイスホッケー連盟スポーツ医科学委員やアジアリーグアイスホッケー東北フリーブレイズチームドクターも務める。又、2017年12月より一般財団法人Green Sports Alliance理事に就任。